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 リュカ以外の人間が森に入ってきたのを好きにさせているのは、その人間が生きるも死ぬもどうでもいいから。そして、人間界に赴き無差別に襲うことを禁じているのは、そこにはリュカがいるかもしれない。魔物の毒牙にかかってしまうことを防ぐため。  なぜそこまでーー。  自分に、なぜそこまでの価値を見出だすのか。 「俺が、ここにいても人間界を襲わずにいてくれるんだよな?」 「リュカが、そう望むなら」  ルカの答えに、ホッと息をつく。まるで人質のようだと思った。いや、そのつもりでここに残るといったのだ。 「お前が、なんで俺にそこまで拘るのかわからない」  その興味はいつまで持つのだろう。いつか、その興味が薄れたとき、やはりリュカなどとるに足らない存在なのだと気づいたとき、どうなってしまうのだろう。  やはり人間界は恐怖にさらされ、自分はこれまでの勇者と同じで意図も簡単に切り捨てられてしまうのだろうか。ゾワリと背筋が凍った。
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