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人は、順応していく生き物だ。
魔王城での二度目の生活は、一度目の時より気持ち的にも気楽なものだった。それは、リュカ自身がここに居座ると決めたことが大きいのだろう。
なにも咎められるものはない。どこにでも自由に出入りができる。
魔王城から出られないことを除いてはーー。
「適度に生気を魔王様にお与えくださいね」
食事を終え、部屋に戻る途中アビルに呼び止められたリュカは、そう指摘される。
前回の時より、アビルの自分に対する様子は少し和らいだような気がしていた。それは、恐らくリュカがルカに生気を与える存在になったことが大きいのだろう。
ルカにとって、リュカが生気を与えられる存在として必要であると判断したにすぎなかった。
「わかってるよ」
そしてリュカも、それを了承している。
ただ、生気を与える方法が他にあればいいと思ってはいるが。
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