それは10円玉よりも高く

　私が決められないでいる中、ふと、気分転換がてら、脇にあった100円ショップが目についたので、何の気もなく、入ってみた。最近の100円ショップは充実していて、その良し悪しはともかく日用品のあらゆるものが置かれている。つまり、茶碗も置かれていた。何の気もなしに入ったものの、私は、茶碗のコーナーを見つけていつの間にか、食い入るように見てしまっていた。
　私のような素人からでも、置かれている茶碗は良いと言えるものではなかったけれど、私は、なぜかその中の1つをいつの間にか気に入ってしまっていた。私は、買うかどうかを迷った。言い過ぎかも知れないが、気に入らないけれどもいいものか、気に入っているけれども悪いものか。どちらを買った方がいいんだろう。そもそも、他のお店にだって似たようなものはあった。どうして、あれが私は、欲しい思ったのだろう。そんな風に、私の思考は堂々巡り。私は、落ち着く時間が必要と考えて一度店をあとにした。