過去と未来、縛られた僕の運命

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満員電車に揺られながらの通勤。 左手にはビジネスバッグ、そして右手で吊革を握る。 その両手には四季を問わず、必ず手袋が()められている。 僕の持つ、この(いま)まわしい【力】の所為(せい)で・・・。 ーーー12年前ーーー 小学6年生は最後の運動会ということもあり、必ず親とフォークダンスを踊るのが恒例となっている。 その為、体育の授業の最後に皆で大きな円を作りフォークダンスを踊り始める。この練習は踊る相手が次々と入れ替わっていき、一番最初に踊った相手に戻るまで永遠と続く。クラス別なら未だしも全クラス合同となると相当な時間が掛かる。 そんなフォークダンス練習中、ある女子と手を握り、ステップを踏んでいる時に僕の中で異変が起きたのだ。 「お母さん、今日の晩御飯なに~?」と母親と思われる女性にすり寄り一緒にハンバーグ?を作っている、今僕とダンスをしている女子の姿が朧気(おぼろげ)に見えてくる。そして、その食べ物を家族で楽しそうに食べている姿も。 この時の僕はまだ子供だったので何の気なしにその女子に、 『ねえ、最近ハンバーグ?って食べたでしょ?』 と訊いてしまったのだ。 するとその女子は、 「えっ、昨日食べたけど何で知ってるの?」 と驚いた感じで僕を睨み付け、その顔はまるで「気持ち悪い」と言っているようだった。 その女子の情報は瞬く間に拡散し、次第に同級生は皆、懐疑的(かいぎてき)な目で僕を見るようになっていった。 それからの日々は悪夢の連続だった。
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