何故?僕にこんな【力】が

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何故?僕にこんな【力】が

中学校を卒業するまでの3年間は同級生からの執拗(しつよう)なまでのイジメによく耐え抜いたと思う。高校は何とか両親に頼み込んで遠方の学校を受験させてもらい、無事入学することができた。 僕の事を全く知らないこの高校でも・・・極力、人付き合いは避けてきた。 クラスの輪に溶け込み、気持ちが緩んでしまえば再び同じ過ちを犯してしまい、またあの悪夢のような日々が始まってしまうと思ったから。 ーーー現在ーーー 満員電車に揺られながら、これまでに分かった事が幾つかある。 この【力】、過去だけでなく未来も見れるということ。 見方は至って簡単だった。 僕のこの手が誰かに触れていれば、その人の過去と未来を最長で10秒間だけ見ることができるが・・・一体、いつの場面なのだかは分からない。 じゃあ何故、未来を見たのが分かったのかと云うと・・・・・満員電車内は身動きが取れず少なからず誰かに手が触れてしまう。 その時にちょうど見たものが、 「ちょ、ちょっと押すんじゃ...」 と中年男性が駅ホームから改札へ行くための階段で転げ落ち、血を流し倒れている映像だった。 その中年男性は僕と同じ駅で下車し、ホームから改札へ続く階段を降りている途中で突然転げ落ちたのだ。男性は血を流し倒れている。 僕が電車内で見た映像とその時実際に起きた光景がまるっきり同じものだったことを今でもよく覚えている。 背筋が凍る程の衝撃だった。 『み、未来も見える?のか・・・』 人間の怒り、哀しみ、妬み、そして喜び・・・ 有りとあらゆる感情の渦が僕の頭に映像としてのし掛かる。 誰か、教えてほしい。 僕の頭に映し出される、この映像の断ち切る方法を。
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