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下手につっこまれたら駄目なんだ、この件は。
しかしやはり、史人はそれでは納得しなかった。
「俺のせいか?」
ふてくされたように史人はつぶやく。
「は? 違う違う」
「じゃあなんだよ」
言えねーよ!
「俺が雪会と付き合ってるからか?」
あぁ何か誤解してるし。
確かにそれ聞いた時もテンション高かったが、今はそれどころじゃない。
「違うっつーの」
「耕平さぁ」
史人は読んでいた雑誌を閉じた。
「前から思ってたんだけど、なんで俺と逆の事するのにこだわんの?」
なんだ突然?
「なんでって、面白いからに決まってんじゃねーか」
「そんなに俺と同じはイヤか」
オレはその時、物凄く、嫌な感じがした。
史人が嫌なんじゃなくて、なんか血の気が引くような、気がした。
史人は続けた。
「おまえ、なにも気にしないでやってるみたいだけどさぁ、わざわざ逆の事されると、すごい気になるんだけど」
「気にすんな」
やっとそれだけ言って、オレは眠いフリをしてベッドに潜り込んだ。
そうなのか、イヤなのか逆のことされんのは。
知らなかった。
聞いてなかったっての。
オレは佐伯のことと史人のこと、衝撃が二つ重なって、しばらく布団の中で呆然としていた。
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