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あっ、なにか笑いを取らないと!
「くそー、史人ばっかズルくね? おまえが女と付き合うなら、オレは男と付き合ってやる」
「は、なにそれ」
史人は、オレの期待通りツッコミを入れてくれた。
「おまえなー。すぐそうやって俺と反対のコトしようとするし」
そう。
オレは史人と反対の事をするのが大好き人間なのだ。
趣味と言ってもいい。
史人がコンタクトだからオレは眼鏡だし、史人が短くスッキリした髪型にするから、オレは短くないくせ毛を毎日苦労してセットしている。
そして史人が共学に行ったから、オレは男子校に入った。
一卵性の双子だが史人に似ていないと言うことが、オレへの最高の褒め言葉だ。
「相手は誰がいい? 新しい兄貴は」
「いらないっての」
「カッコよくて頼れるヤツがいいかな」
オレはスマホの電話帳をチェックする。
「佐伯はどーだ?」
「そーだね、いいんじゃないの?」
適当に答える史人を尻目に、オレはスマホに『佐伯尚志』を表示させたまま、通話ボタンをタップした。
押してから、そういえば、と思って史人を振り向く。
「なー、佐伯におまえが付き合い始めたコト言っていいの?」
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