11/01 22:30>>>

3/4
前へ
/28ページ
次へ
 佐伯はもともと史人の中学の時の友人で、オレも高校が同じになったのをきっかけに友人になった。  二年で同じクラスになってからは、ずいぶんつるんでいる。  切れ長の目で背が高い、ちょっと恐い感じのお兄さんだ。  史人はゲームする手を止めずに、チラッとこっちを見る。 「佐伯ならいいけど、他の奴にはあんまり、ってオイ? 今何時だと思ってんだよ!」 「大丈夫大丈夫。あいつ寝たら電話気づかないから」  そう言ってスマホに耳に当てると、鳴ってるはずの呼び出し音が聞こえない。 「あれ?」 『全部聞こえてるって』  画面を見ると、すでに通話時間が二十秒過ぎていた。 「聞いてたか?」 『史人が付き合うとかいう話? 誰とだよ』 「高村雪会だって」 『あぁー、いいじゃねーか』 「な、卑怯だろ? でさ、オレも対抗してさー、男を作ろうと思って」 『渋いね』 「って訳で、ヨロシクね、尚志君」  う、自分で言っててちょっと気味悪かったな、普段名字で呼ぶヤツを名前で、しかも君付けするのは。  電話の向こうの佐伯は、気色悪いと言いつつ乗り気っぽい。 『ご指名かよ? そうだな、史人ばっか彼女持ちってのはムカツクからなー』 「よーし。これからオレたちは朋友を越えるゼ」  しばらく訳のわからない事を言い合って、電話を切る。     
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加