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佐伯はもともと史人の中学の時の友人で、オレも高校が同じになったのをきっかけに友人になった。
二年で同じクラスになってからは、ずいぶんつるんでいる。
切れ長の目で背が高い、ちょっと恐い感じのお兄さんだ。
史人はゲームする手を止めずに、チラッとこっちを見る。
「佐伯ならいいけど、他の奴にはあんまり、ってオイ? 今何時だと思ってんだよ!」
「大丈夫大丈夫。あいつ寝たら電話気づかないから」
そう言ってスマホに耳に当てると、鳴ってるはずの呼び出し音が聞こえない。
「あれ?」
『全部聞こえてるって』
画面を見ると、すでに通話時間が二十秒過ぎていた。
「聞いてたか?」
『史人が付き合うとかいう話? 誰とだよ』
「高村雪会だって」
『あぁー、いいじゃねーか』
「な、卑怯だろ? でさ、オレも対抗してさー、男を作ろうと思って」
『渋いね』
「って訳で、ヨロシクね、尚志君」
う、自分で言っててちょっと気味悪かったな、普段名字で呼ぶヤツを名前で、しかも君付けするのは。
電話の向こうの佐伯は、気色悪いと言いつつ乗り気っぽい。
『ご指名かよ? そうだな、史人ばっか彼女持ちってのはムカツクからなー』
「よーし。これからオレたちは朋友を越えるゼ」
しばらく訳のわからない事を言い合って、電話を切る。
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