隠居が通る1

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お絹とみなに腰元3人が膳を持つて入って来たので、みんなの膳も持ってくるのじあ、みんなにわしの手柄話しなど聞かせようぞと言うと、腰元がハイと返事してみなの膳をもって来た、 のですそれでは、これより先は手酌じあ、みんな勝手に飲んでくれと言い、飛び魚の塩焼きを食べて美味い、美味いと言うと、みながほんに気さくなお殿様で御座いますなあ、腰元と同、 じ膳で飲むなぞ聞いた事は御座りませぬと言うと、 お絹が昔からそうなのじあよ、とても優しいお殿様で太閤殿下、大権現様、秀忠様、将軍様とはお友達なのですよと言うと、みなが驚いていたのです、みなが父上が聞いたらうらやまし、 がりますと言ったのです、夏正の側室は何人いるのだと聞く江戸上屋敷に1人程おります、まだお子は出来ていませんと言うので、そうか、そのうちできるであろう、あ奴はわしの兄者、 に似ておとなしいからのうと笑うと、 お絹がそうなのです何事も慎重すぎるのですと言うと、まあ、慎重なのは良い事であるぞ、わしみたいになるといつも心配していなければならず、お絹はいつもハラハラドキドキしたで、 あろうと言うと、ほんにそうで御座りましたなあ、あの淀の方の又くらに脇差を差して脅かし、座敷牢に入れたと聞いた時は息が止るかと思いましたよと言うので、山岡の奴が面白おか、 しく話したのであろうと言うと、     
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