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「じゃあ、死んだほうが良かったというのか」
「そうは、言っていないだろう」
Beeは、死んだウサギを受け取る。若い女だが、そういうのに恐れる様子もない。
「暇なら、おまえが行けばよかったのに」
「わたしよりもっと暇そうなお前に譲ったのだ」
「それは、どうも。でも、それでお前の命を救ったって借りを返したなどと思わないでほしいがな」
「わかっている。サイジョー、お前は、わたしの命の恩人だ」Beeは、しぶしぶであることが明らかな顔で言った。
「そうだ。どうも、お前はそれを忘れる帰来があるからな、時々、確かめておかんとならん」
「おまえは、瀕死のわたしを背負ってこのアラスカの雪原を横断してこの秘密基地まで運び、そして救ったのだ。忘れておらん」
どう見ても横柄な口調だが、それがこのBeeという女の通常モードなのだろう。
「よくできた、Bee。それを忘れるな、俺たちは戦友だ。間違えても、俺を食おうと思うな。俺はこの基地の司令官だ」
「はん、司令官兼掃除係、メンテナンス要員さまだ」
「ふん」
「6号トイレの排水が調子が悪いという話だぞ」
「もしかして、それを伝えに来たのか、おまえ」
「おまえなら治せるからな」
「自分だと、壊すだけというのを、自覚しているようだな」面白くもなさそうに西城恵は言った。
「戦闘用の不死身人間というのもなあ。なんとかならんのか」
「鋭意研究中だが、わたしを再教育することは、不可能だと聞いた。あきらめろ」
「まったくな・・ウサギの解体までは出来るが、料理の腕もからきしで・・」
「そういうのは、ケイコに任せている。おまえは、便所の修理をしろ、司令様」
「ああ、わかったよ」
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