新命路

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 ここは、アラスカ某所の雪原の地下に広がる秘密基地だった。  その昔は、米軍のアラスカ核シェルターのひとつだったのを老朽化を理由に”不死鳥結社”が接収し、自分たちの基地にしたのだ。ここで”不死身”になるための研究を鋭意していたのである。核戦争で地上を焼き尽くすのはいいが、その後の残留放射能のことを考えると、生身で地上に戻るのは、少なくとも戦争を起こした世代では不可能だとわかったからである。  そのために、核兵器による相互絶滅は抑止力として存在していた。  しかし、そこで狂いが生まれた。  当時は神話伝説の中でしか出ていないとみなされていた不死身の超人種族が、実はこの世の中には実在しているとわかったからだ。その結果、”不死鳥結社”が誕生したといってもいいのである。  核戦争で生き延びることを前提した”不死鳥結社”の研究は、その故に、本土を離れたアラスカの雪原で秘密裏に行われる必要があったのだ。  後で聞けば、先客があったようだが、少なくともBeeを担ぎ込んだときの西城は、この基地が封印されたとは考えていなかった。  非合法破壊工作員として抜群の手腕を持った元CIAの西城にとっては、まあ、簡単だったとは言わないが、この程度の封印を解くのは可能だったのである。そうして、この地下基地の中に瀕死のBeeとともに転がり込んだのであった。  そして、この秘密基地に閉じ込められたと思って半狂乱になっていたマーという小娘を説得して、Beeの治療を行わせたのだった。  どうも、Beeはこの秘密基地の出身らしく、その医療設備は彼女に好適だったことも、彼女は運がついていたといっていい。  そうこうしている間に、あのガキどもが仲間を連れて舞い戻ってきたのである。  西城の知っている犬神明、いまはジョッシュ・パーミタと名乗っている、と、キム・アラーヤという小娘だ。どちらも不死身人間にして、人間以外の動物に変身できる”神話人種”であった。それ以来、この元不死身結社の秘密基地は、”神話人種”の秘密基地というか、御用達の病院になったのであった。  詳しく言うと、そこにNYのルーナ王女の”大連盟”も絡んでくるのだが、正直、そこらの人間関係を説明すると、西城恵の頭では”こむら返り”が起きそうになる。  とにかく、あのあたりの超人・超能力者たちはみんな、グルなのであるよ。そういう話だ。
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