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「まぁ!まぁ、まぁ!」
「なんて可愛いの!ポロネ!」
彼女の周りで歓声が起きる。
ポロネというのは、彼女、P06の愛称だ。
AI仲間が ただのアルファベットで呼びあうのは味気ないと言って、お互いに付け合った名前だ。
博士が彼女を作っていた時、ショパンの英雄ポロネーズを聴いていたという。
カノンとアリアが手を取り合って喜んだ。
「すてきよ、ポロネ。なんて美しい瞳なのかしら」
「漆黒の瞳に、漆黒の髪の色!日本人はなんて魅惑的なんでしょう」
鏡に映る黒髪の少女をポロネはまじまじと見る。
「これが、わたし?」
「お気に召されまして?」
パーティションから現れたのは、満面の笑みをたたえたミセス・ジョーンズだった。
「ミセス・ジョーンズ!!」
「お久しぶりですわ、ミセス・ジョーンズ」
カノンとアリアは、ドレスを程よくつまみ腰を落として挨拶をした。
「まぁ!カノンにアリア。見ない間に素敵なレディになって」
「ありがとうございます。お蔭様で舞踏会に通う日々で多忙でしたの。この度はメッセージありがとうございました」
カノンは言いながら泣きそうになっている。
「本当に。ミセス・ジョーンズのお蔭でまた皆と会うことが出来て、その上こんなに素敵になったポロネに逢わせて頂けるなんて!」
きゃあ、とアリアとカノンはまた手を取り合って跳び跳ねた。
「そんなに喜んで頂けたら、呼んだ甲斐があったわ、ねぇ?ポロネ?」
「ええ、ええ、本当に」
ポロネは涙ぐみながら、カノンとアリアとハグをする。
ミセス・ジョーンズは、相変わらず冷めた珈琲を手に持っていたが、それをデスクに置くと、3人に言った。
「さぁ、レディたち!お楽しみは これからよ!」
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