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「ん?犬塚さん、どうやらさっきから、少しずつあなたの中に眠る猫が、目を覚ましだしているようですよ! 」
「そんニャわけ……ハッ!……そういえばニャンだか、妙に顔がかゆい……明日は雨が降りそうだニャ」
「そうそう!その調子です!」
「ま……まさか……こんニャの僕じゃない……ちがう、ちがう……ちゃう、チャウ……
チャウチュール!……ハッ?」
「もうちょっとだ!よーし、こうなったら…犬塚さん、あなたのカラオケの十八番は?」
「あ……ああ、『夜明けの……ス…キャット』」
「あなたは、日曜の夕方、何をしている?」
「あ……ああ、日曜の夕方……毎週、変な髪型のおばさんが、裸足で追いかけてくる!」
「そう!それから??」
「ああ……それから……果物の中身をくり抜いて閉じ込められ、タイミング良く飛び出して、お尻を振らされている!毎週!
それを観て、学生やサラリーマン達が、憂鬱な顔をしている!」
「素晴らしい!犬塚さん!もう、あなたは立派な猫だ!」
「あぁ!先生!ニャンだか身体中から、僕に眠っていた猫の血とノミが、湧いて来る気がするニャー!」
「そうでしょう!さぁ、そのまま動物病院へ行けー!」
そこに、隣の診察室にいた女医が入ってくる。
「ちょっと、院長!静かにしてください!
隣の診察室まで、声が響いてますよ!」
「おー!猫好きの宮野くん、君も後学の為に見ておきたまえ!彼が世にも珍しい、人間と勘違いして生きてきた猫だ!
犬塚さん、自己紹介をしてやってくれ!」
「うー!ニャンダホー!こにゃにゃちわ!宮野さん!
僕が『会社の犬』、改め、『革靴を履いた猫!』こと、『犬塚ポチ夫』です!
吾輩に名前はまだない!……と言えずにごめんにゃさい!」
「えぇ?あなたが、猫ですって?こんなに大きな猫なんているわけ……ちょっとカルテを見せて……やっぱり……もう、院長!間違えてるじゃないですか!」
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