プロローグ 生から死、死から生

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誰か、この鳥籠を消して… 何度そう願っても叶えてくれる者はいない。私は【聖女】なのだから願いはすべて叶う…そんなことはない。私は【聖女】という名の道具でしかないのだから。毎日のように【浄化】を頼まれ、その場所へと足を進める。自由などないし、逃げ出そうとすれば容赦なく殴る蹴るなどの暴行をされる。 【聖女】に対してそのような扱いをすれば普通は処罰が下る。けれど、私は元は王族で国王の娘…その国王までもが関わっているとなれば処罰など下るはずがない。 もう、こんな人生は終わりだ 【浄化】が終わって戻る間に魔法を使って目をくらませた。魔法で身を隠しながら寒さに耐え辺が静かになるのを待つ。 そうして捜索隊もまばらになってから少しずつ移動し王宮にある塔の最上階へ向かう。そこは【聖女】以外は入ることが出来ない初代が作った特別な場所。そこで、私はある儀式をした。『今世での寿命をすべて使い果たし、来世へと魂を運ぶ』それは【聖女】にしか出来ない禁忌の魔法。 誰もいない夜、私はその魔法を使い塔から身を投げた。これで私は自由に生きることが出来る、もう誰にも支配されることはない…。 「来世では、幸せに…」 その言葉を最後に私は死んだ。
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