第一 生と聖、真と偽

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【レティシア・ライツアル】 古い歴史の中で最も【聖女】としての力が大きかった御方。だが、レティシア・ライツアル様は突然死んでしまった。なぜ死んだのか…歴史には『歴代最強と言われた【聖女】は若くして、不治の病により亡くなった』そう言い伝えられている。だが、それは本当なのだろうか…?歴代の【聖女】達は病に侵されることはなかったと記されている。様々な推測があるなか、私はその真相を見つけたのかもしれない…レティシア・ライツアル様は…____ パタン…と読んでいた本を閉じた。今まで読んでいたのは『レティシア・ライツアルの死の真相』という本だ。レティシア・ライツアルは数百年前、不治の病により若くしてこの世を去った【聖女】様。 本の通り、【聖女】は病にならないしそんなことがあれば大問題。なんでそんなことが分かるのか…そう聞かれたとしたら私はこう答えるだろう。 『私がその【聖女】だったから』 誰も信じないだろうけど、私は前世の記憶がある。【聖女】の力を使ったから。 そして、今この世にまた転生することが出来た。名前も姿も違うけれど、新しい幸せな人生を送ることが出来る…そう夢見ていたのにまた【聖女】として転生した。それがわかったときは思いっきり叫びたくなった。 なんでまた聖女にならなきゃいけないんだ!!…と。けれど、幸い誰かが気付いているわけではないので隠し通していこう、と決意した。 レナ・ミラディアン、現在十二歳。ミラディアン伯爵家の一人娘で両親からは愛情を注いでもらっている。けれど男が生まれてほしかったという事もあるのか、たまに「レナが男の子だったら」と言われている。それにはレナである私は気にしていない。そんな事は昔なら毎日のようにあったのだから…。 「十二歳なら…まだまだ時間はある」 私は宮廷魔道士と研究者に憧れている。昔から私は魔法を使うのが好きだったし、研究──主に薬による治癒関連に興味があった。けれど魔法は【聖女】であった頃の記憶があるため少し嫌なこと思い出すだからどうすればいいものか。
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