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しかも、被服科の小テストは変わっているとの噂です。その上、毎月の小テストに合格をしないと停学あるいは退学の処分を受けると、来妃菜は聞いてしまい、表情は真っ青になります。
まだ中学のときの友人が言っていたことを気にしていた来妃菜は、五月の小テストは今日だと緊張しながら、千江積宮高校の校門に入ります。
校門の前は、生徒会が何人か立っており、ショコラブラウンのセンターパートヘアの副会長らしき男子が来妃菜にあいさつをしましたが、彼女は今日行われる被服科の小テストのことで頭がいっぱいだったようです。副会長らしき男子の横をそのまま通り過ぎてしまいます。
来妃菜が警戒していた小テストは、六時間目に行われました。担任の九分立太が黒板に制限時間五十分と白いチョークで書きながらの説明が始まります。
「簡単に小テストの説明に入りますが、うちは普通とちがって筆記試験ではありません。制限時間内に問題用紙に書かれてある問題の解答を、配った上着に指定された刺繍で縫ってセンス良く仕上げて下さい。出来た人は上着を着て先生に見せて下さい。始め!」
担任の九分の合図と共に、裏返しになっていた問題用紙を全員が表に返しました。問題は一問のみであり、問題の内容は「春に咲く花は何か?」といった問題でした。筆記だとかなり簡単な問題です。
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