それは恋に似ている2

1/30
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ

それは恋に似ている2

やっせんぼ。 もしくは、やっせんぼう。 鹿児島の方言で「弱虫」「気が弱い」などそういう感じの意味。 高い岩や塀からなかなか降りられない僕は、歳の離れた姉から「やっせんぼだね」と昔よく言われていた。 そして今、一冊の本を前にして、僕の「やっせんぼ魂」が最大限に発揮されていた。 ページをめくる。 敵陣の様子から物語は始まった。 ドキドキしながら読みすすめていく。 あ、主人公登場。 名前を見ただけで目が潤みそうになるが、ここは堪える。 主人公の親友も登場。 恐らく後半ではこの親友が主人公だ。 3日間、ゆっくりと丁寧に既刊シリーズを読んだ。 あの「愛読書」たちと比べて、対象年齢が違うからか、この二人の青年の描き方がとても大人っぽい。 間が10年空いての新刊ということもあるからか、作者の描き方がスキルアップというか、スピード感増したというか。 とりあえず、大人っぽくなった登場人物たちに妙な感動を覚えた。 こんなに立派になって・・・。 よく親戚のおじちゃんおばちゃんが久しぶりに会ったときに「大きくなって・・・」「立派になって・・・」としみじみ声をかけてくれる理由が分かった。 きっとこんな感じなんだろう。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!