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昔は三流会社の社員として頑張っていた彼だったが、ある日友達に株は儲かるよと言われ、貯金をすべて投資につぎ込んだ。
結果、株は暴落し金が無くなると、親に金を借りてまた投資。
そして失敗。
さすがに親には頼れず他から借金をし気づけばヤミ金にまで手を出した。
今では借金取りに催促をされる日々。
そんな生活に活路を開くため、今日は競馬で金を一気に稼ぐつもりな今田。
彼は早速なけなしの金を握りしめ、歩いて競馬場に向かう。
ヘトヘトになりながら一時間かけて競馬場に着くと、顔見知りの60代のおやじに会い、挨拶を交わす。
「やっさん、今日こそ大富豪になるぞ!」
「イマちゃん、金は大丈夫なんかい?
俺が言える立場じゃねーが、あんたヤミ金にも手出してんだろ。
そろそろいい加減にしとかないと、命とられちゃうよ。」
「おいおい、やっさん。
人生一度きりだよ?
せっかくの人生勝って終わらなきゃ意味ないでしょ。
確かに今は俺負け組だけどよ、最後は絶対に勝って終わるのがこの今田大吉の人生よ。」
「そうかい。
それなら何も言わないけどさ、俺みたいに人生長いこと生きてると、色んな奴の最後を見てきたのよ。
中にはむごい終わり方した奴もいたんで、あんたみたいに気のいい奴にはそうなって欲しくないんだがな。」
今田はしけた話は終わりだと言い、競馬の予想を始める。
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