ムカデと私の生活

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 「いってきます」と声を出して家を出る。数メートル歩くと、熱くなっている紺色のアスファルトの上でひしゃげているそいつの姿。車に轢かれてしまったその姿はあまりにも無残で、少しだけ哀しくなった。自分もそいつの命を奪っているというのに。ちらっとその死骸を見てから、何もなかったかのように歩き出す。数歩歩いたところでそいつのことは頭から抜ける。二日後、思い出してそいつを見てみれば、そこにはもうそいつの姿はなかった。
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