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第一章 湖上デート
麗らかな春の訪れ、そんな表現が疑う余地もなくあてはまる、そんな午後のひと時。
オレと麗華結(れいか ゆい)は二人乗りの手漕ぎボートで湖上デートを楽しんでいた。
少なくとも、傍目にはそう映ったに違いない。
陽気な日差しに囲まれた湖上のカップルに犯罪の影を見るものなどいない。
春のいたずらか、突風が彼女のスカートを捲り上げた。
「いやーん。エッチ」
彼女は捲られたスカートを両手で抑えると、ほんのりと顔を赤らめ、上目遣いでオレの方を見上げた。愛くるしい仕草も、今のオレにはワザとらしい演技としか思えなかった。
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