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「おれがアヒルなら、おれだけとうさまともかあさまともにいさまともラルフくんともかおがちがうの、あたりまえだね」
笑って返すと乳母は微笑んでそうですね、と答えていた。今考えるとこれおかしい教育だぞ、どうにかするべきだろ。
まぁとにかく乳母と俺がこうだったので自然と周りも俺に対してそういう態度を取るようになった。
そして俺は王族の中で唯一誰にも敬われることのない王子となった。城の中では兵士に気軽に名前を呼ばれ敬語で話されたりもしない。どうせ俺はアヒルの子供だし、王位継承権なんてものは父様も俺には与えなかったので、いいかと思って放置している。町に下りても国民は俺が王子だということにすら気付かない。正直家庭教師と乳母以外に王子として扱われたことのない俺にとってはどうでもいいことだった。
俺は両親には嫌われていないものの、六つ年上の美しい兄様は俺のことを弟と認めたくないらしく、俺より下の美少年だけを溺愛している。弟も嫌っているとは言わないが俺のことを兄とは思っていないようだ。つまり俺だけの兄弟仲は最悪。まぁ別にいいけど、なんていつから俺は人間関係に無関心になってしまったのだろう。
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