チャンスタイム

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「…ンだよ、」 「彼女と別れたってホント?」 見上げたら、ものすごく嫌そうな顔をされた。 「別れたけど…」 「えっ、じゃあ、好っ…」 「無理!」 好きと言い切る前に遮られた。横で卜部が吹き出して笑っている。 「なっ、何で?」 「お前、俺の元カノ全員知ってるよな?」 「知ってるよ?晶美ちゃんでしょ、それから…」 「じゃあ鏡見ろ。以上」 か、鏡?どういう事!? 「お前、それ酷過ぎねえ?」 と、言いながらも、卜部が笑い転げている。 「ね、どういう意味?」 「分からねえのかよ、人がせっかくオブラートに包んでやってんのに」 「分からないよ、教えて?」 すると溜め息を吐かれた。卜部と顔を見合わせて、「言っていい?」と相談している。そして、私に向き直った。 「だから、」 ーーーお前はブスだ、って言ってんだよ。 ガーン!と頭の中でコメディみたいな音が鳴った。可愛いなんて思ってなかったけどさ、そんな直接的な言い方、ある!? 「ひ、酷い!」 「お前が言えって言ったんだろ。俺、面食いだから。ブスは無理」 酷い、酷すぎる。これでも一応女の子なのに。 「…通算10回目の失恋…」 呟いたら、 「へえ、記念すべき10回目。オメデトウ」 と茶化された。 結局、その翌日に、彼には新しい彼女が出来て。私のチャンスタイムは、何のチャンスでも無く終わってしまった。
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