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やっと食卓に座ったところで、母さんが切り出した。
「大翔、学校どう?友達出来た?」
「ああ、まあ」
「まあって…もうちょっと詳しく教えてくれても良いじゃないっ!」
唇を尖らせる母さん。46歳にもなって、よくそんな顔が出来るな、と思う。
「どうせアレでしょ、女の子に声かけられまくってるんでしょ」
苦し紛れにそんな事をブッ込まれて、吹き出しそうになった。すると父さんが笑う。
「お前、そういうとこ、母さんにソックリだな」
「そ、そういうとこ…?」
「母さんな、図星だったら絶対吹き出すんだよ」
母さんにソックリ?
やめてくれよ、俺は父さんみたいになりたいんだから。
「べ、別に、図星じゃないよ…」
「強がるなよ、人に好かれてるなら良いことだろ?」
まあ、そうなんだけど。そんな事を両親に話すのは、何だか気恥ずかしい。
話題を変えたかったのに、母さんが得意気に言った。
「お父さんもね、高校からすっごいモテたんだよ、ね?」
やっぱりそうなんだ!と思った。この歳でまだモテてる父さんの事だ、学生時代はもっと凄かったんだと思ってた…!
「良いよ、別にその話は」
「良いじゃん、武勇伝じゃん!」
父さんは本気で嫌そうだったけど、母さんは何故か楽しそうだった。
「お母さん、お父さんと仲良かったから、いつも女の子に呼び出されてね。大和くんとどんな関係なのって毎日のように訊かれてたんだよ!」
「へえ、すげえ」
そんなドラマみたいな事、ホントにあるんだなと感心した。と、同時に、色々な興味が湧いた。そんな話、今まで聞いたことが無かったから。
「てかさ、父さんと母さんっていつから付き合ってんの?」
「えーっと、27?」
「ああ、そうだな」
「えっ、幼馴染なんだろ?何で27?」
遅すぎる、と思った。だって生まれた時から隣の家に住んでたんだろ?そんなに長く一緒に居たなら、もっと早くに付き合っても良いはずなのに。
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