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「それは、色々あって…」
さっきまでノリノリだった母さんが、何故か言葉を濁した。不思議そうに見ていると、父さんが言った。
「俺が、母さんに好きって言ったのが27だったからだよ」
「エッ!?」
普通に声を上げていた。だって、父さんが?父さんが母さんにアプローチしたの…?
「え、マジで?逆じゃなくて?」
俺がそう言うと、母さんが「それどう言う意味?」と噛み付いた。
「俺、母さんに27年片想いしてたから、」
「マジで言ってる!?本気で?何で母さん!?」
「ちょっと大翔、失礼じゃない?」と、母さんがまだ噛み付いている。俺はかなり驚いていたけど、父さんは微笑って、
「お前にもそういう人が出来たら分かるよ、」
と言った。
本当に?そんな事ある?
選びたい放題の父さんが、敢えて母さんにいく必要ある…?
拗ねている母さんを宥めている父さんを眺めながら、俺はずっと考えていた。
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