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だぁー!面倒臭えー!
俺が内心叫んだら、哀川が心配そうな顔をした。
「おい大翔、大丈夫か?」
「…何が?」
「何がって…前みたいにフォローに行かなくて良いのかよ、」
大翔は、全く追いかける様子が無い。
「大丈夫、」
そう言うと、立ち上がって俺の隣にやって来た。
「俺がまさ…皇の横に座ってんのが気に入らなかっただけだから…、そのうち、変な空気にしたお詫びのお菓子でも買って、帰って来るよ」
「何で、そんなの分かるんだよ…?」
「…俺が躾けたから」
「躾…?」
なんかエロいなそのワード、って思ったら、タッキーがそう言って、哀川にハタかれていた。
「アイツとは多分、墓まで一緒だから。嫌なとこはお互い寄り添っていかねえとな、」
大翔の台詞に、その場の全員が反応出来なかった。俺はまあ、卒業式の大告白で何となく察知してたけど。
大翔、マジで、夏目と結婚する気だ、って。
すると、勢い良く玄関のドアが開く音がして。ドタドタと、夏目が飛び込んで来た。
「さっきはごめん!でも、晶美ちゃん、ひろくんの隣に座らないでっ!」
その手には、コンビニ袋がぶら下げられている。
帰って来た夏目の第一声に、大翔が吹き出して笑った。
「ホラな、」
って。
コイツらはコイツらで、上手くやっているらしい。余りにも仲が良さそうで、これ以上 冷やかす気も失せた。
「哀川も卜部も、彼女呼べよ。タッキーも、片想いの相手に連絡しろ」
予想外にも、そう提案したのは大翔だ。
「今日はとことん楽しもうぜ」
数十分後、この狭い1LDKのリビングが、更にギュウギュウになった。
後から聞くところによると、大翔と夏目は、この日の騒音で、下に住む大家さんにこっぴどく叱られたらしい。
【おわり】
→あとがきがあります
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