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チャンスタイム
その知らせは、突然やって来た。
「一ノ瀬くん、彼女と別れたんだって!」
昼休み。1人の女子生徒が、教室に飛び込んできた。たちまち、黄色い声が飛び交う。
「えっ、いつ!?」
「昨日!なんか訳わかんないけど、とりあえず別れたって!本人が言ってたんだって!」
何という幸せな知らせ…!踊り出したい気分だった。
ひろくんったら、朝出会ったのに教えてよっ…!
このチャンスタイムを逃す訳にはいかない。だってひろくんは昔から、どのコミュニティに入っても1番モテる。どうせすぐに彼女が出来るんだから、このフリーのタイミングを狙うしかない!
気付けば、A組の教室を飛び出していた。ひろくんの行動パターンは、既に把握している。この時間は、学食から戻って来るはずだ。
すると予想通り、ひろくんが卜部と2人で廊下をこちらに歩いて来ていた。すかさず駆け寄る。
「ひろくぅ~ん!」
抱き着こうとしたのに、ヒラリと躱されて。危うく壁に激突するところだった。
「ちょっ、何すんの!」
「そっちこそ何すんだよ!あと、その呼び方やめろ!次から無視するからな!」
それだけ言って、スタスタと立ち去ろうとする彼。慌ててブレザーの背中を掴んだ。
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