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見た目よりも中身
「あーもう!もう良いから!」
学食でカツ丼を掻き込みながら、俺はイライラを募らせていた。
「な?俺の言う通りだったろ?今日だけで何人?」
「既に3人、予約が10人」
「予約って何?」
「放課後、校舎裏まで来て下さい、的な」
「ああ、そういう予約ね、」
「校舎裏、3人被ってんだけど。そのへん示し合わせてくれよな。ダブルどころかトリプルブッキングじゃん、」
「それは無理だろ、」
昨日、彼女と別れたと公言したせいで。朝から連絡先を訊かれ続け、告白されたのは既に3人。その3人は全員好みじゃなかったので、キッパリとお断りした。
「つーかさ、俺の何が好きなの?入学して1週間でさ、」
「そりゃ顔だろ、カオ」
だから、別に俺はイケメンじゃないから!付き合っても、性格終わってるからガッカリするよ、きっと。
「…マジ、疲れる」
呟くと、卜部が不思議そうな顔をした。
「ならさ、別に無視すれば良くね?なんでそんな律儀に告白されに行く訳?」
それは、父さんに言われたからだ。
人に好きになってもらえるなんて光栄なことなんだから、キチンとお礼を言いなさい、って。それに、人に好きって伝えるのは、すごく緊張するし、勇気が要ることだから、断るにしてもちゃんと聞くのが礼儀だ、と。
「…って、父さんが言ってたから、」
すると卜部は呆れたように「ファザコン」と茶化した。
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