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 私なんか寝る時も部屋着も同じスウェット。目覚めれば大体二日酔いだから朝食なんて食べない。部屋はいつでも足の踏み場もない。でも私には、こんな生活が似合っている。  私は男社会に切り込み仕事に立ち向かう自分に誇りを持っていた。趣味の延長を仕事にしてにこにこしながら崇拝者達に囲まれている美花を、ある意味軽蔑していた。あんなものは仕事じゃない。ファンしかやって来ない舞台で、やり慣れたショーを繰り返しているだけなのだから。    グラビアなんかに出たら、さらに人気が出てしまう。ファンが大挙して押し寄せ、美花はもっと勘違いをするだろう。自分の人気は、講師としての力量の賜物なのだと。  美花は趣味の延長を仕事にしただけ。私と似た顔なのにあまりにも違う雰囲気で、男を惑わし飯の種にしているだけなのに。  美花を見ていると、私は不快な気分になる。だから定期的に来る美花からのメールにも、ほとんど返事を返さない。  私は仕事に邁進する。やがて私達双子に26歳の誕生日がやって来る。その日届いた美花からの「結婚します」というメールに、私は自分の勝利を確信してこっそりとほくそ笑んだのだった。
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