3

2/3
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
 就職して、私は『いい女』とは自立した高い能力を持った女のことを指すのだと知った。写真週刊誌という現場で男の下卑た本性を嫌というほど見た私は、気付いてしまったのだ。この世の制度は、男にのみ都合よく出来ているということに。  まあ当然と言えば当然だろう。法律も慣習も男社会の中で出来上がってきたものだ。戦前の日本やイスラム圏のそれに比べれば、現代日本の女は自由を手にしているようにも思える。けれど、根深いところは何も変わっていない。それが顕著に見えるのが、結婚という制度だ。  結婚など、女を監獄に閉じ込める死の契約でしかない。婚姻届は奴隷契約書。女は結婚をした途端に、自由を奪われ婚家の奴隷に成り下がる。子供が出来ればなおさらだ。子供を人質に取られ、一生夫となる男にかしづいて生きていくしかない日々が待っているのだ。  男女共同参画と言うけれど、結局女の地位は低い。子供は女の腹からしか出てこない。母乳は男の乳首からは出ない。だから産休を取るしかないけれど復帰しても同じ場所には戻れない。閑職に回されても文句は言えない。夫より稼げない妻は優先的に子育てをすることになる。結局自立しきれずに夫の経済力に頼らざるを得なくなる。  苗字も変わる。夫婦別姓などと言うが、実際にそれを選択するのは「変わり者」という烙印を額に押して生きるのとおんなじだ。苗字を変えてしまえば、女は婚家に取り込まれる。そこには赤の他人が家族の顔をして威張っている。無視をするわけにもいかない。夫の顔色を見ながらの、煩わしい人間関係がそこには待っている。  大体男というのは浮気をする生き物なのだ。それはもう遺伝子に刻まれた本能と言っていい。綺麗な女を見れば孕ませたいと思う。実際に浮気をする男ばかりではないかも知れないが、心は既に離れている。経済力も自由も奪われた上に、大義名分だった愛情までもあやふやになるのだ。そうなった先にまだ幸せがあるなんて、考える方がどうかしている。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!