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だけど、やっぱり私の手にはコーラがある。それを握りしめて、私は今、学校の前にいる。
でももう授業は終わってて、グラウンドのサッカー部だって地面を均して片付けを始めてる。
今は夕方で、部活だって終わる時間になんで学校に来たのか。明日だっていいと思う。
でも、今なら大翔が一人なのを知ってるから。大翔はバスケ部でいつも最後まで練習してる。体育館で部活が終わったら、屋外にあるゴールを使って最後の最後まで。
ティー……ン、ザッ……。
ほら、やっぱり。
ボールの弾む音、シューズと地面の摩擦音、全部大翔のものだ。
ダンッ、ザシュッ……、トントン……。
ボールがゴールをすり抜ける音。そのオレンジのボールが、私の足元まで転がってきた。
「……千夏?」
コーラを地面において、代わりにそれを手にすると、大翔が私の名前を呼んだ。
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