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「最初に会った時、公園の木陰に変なの居たろ?」
「え? ……うん」
そう、だったっけ?
「あれな、中学の俺。ホントなら中学の俺が千夏に声かけて、その瞬間に補導員に見つかって自宅謹慎になるはずだったんだ」
そういえば、何かが居たような……。
「それを回避しても仲直り出来てなくて、だからもう一度過去に行った。過去の俺に会えないなら、千夏に変えてもらうしか無い、そう思って」
ギュッと手を掴むと、大翔はニコリと笑う。
「ありがとう、千夏。あの時、俺に会いに行ってくれて」
「ハルーー」
「大本さーん、麻酔始めますね」
入ってきた看護師さんに、会話が中断された。看護師さんがテキパキと点滴から麻酔を入れて、準備を始める。
「すぐに麻酔が効いてきますから、また後で来ますね」
パタパタとサンダルの音が遠ざかっていく。
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