未来と今と、変わる今、そして彼と私

5/9
前へ
/21ページ
次へ
「最初に会った時、公園の木陰に変なの居たろ?」 「え? ……うん」  そう、だったっけ? 「あれな、中学の俺。ホントなら中学の俺が千夏に声かけて、その瞬間に補導員に見つかって自宅謹慎になるはずだったんだ」  そういえば、何かが居たような……。 「それを回避しても仲直り出来てなくて、だからもう一度過去に行った。過去の俺に会えないなら、千夏に変えてもらうしか無い、そう思って」  ギュッと手を掴むと、大翔はニコリと笑う。 「ありがとう、千夏。あの時、俺に会いに行ってくれて」 「ハルーー」 「大本さーん、麻酔始めますね」  入ってきた看護師さんに、会話が中断された。看護師さんがテキパキと点滴から麻酔を入れて、準備を始める。 「すぐに麻酔が効いてきますから、また後で来ますね」  パタパタとサンダルの音が遠ざかっていく。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加