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手術は5時間にも及ぶものだった。その理由を執刀医の先生が説明してくれたけど、ほとんど覚えていない。
「ーー千夏」
呼ぶ声に私は振り向く。
「大翔」
そう返すと、彼はふわりと笑った。
「それじゃ私の誕生日プレゼント買いに行こうか?」
「……覚えてたか」
「利子、ちゃーんとつけてね?」
「はいはい」
大翔の手術は成功し、無事退院できた。
そう彼は生きている。
「にしても、泣いて損しちゃった」
「お前ね……」
大翔が死ぬかもしれない、そう考えてたら手術の間、涙が止まらなくて脱水症状までおこしかけたのに、彼は生きてる。
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