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「……ハル」
「ん?」
「暇なの?」
「酷いなぁ、それ。営業職だから時間に融通がきくんだよ」
「サボりだ」
「それはお互い様」
私達は話しながら場所を移動した。
「で、ハルは探してみた?」
子供の頃の話なんだから、なかなか見つからないだろう。
「うーん、なかなかだねぇ」
そう口にするハルは、昨日より疲れてるように見えた。
「……本当に探してるんだ」
「見つけたけど、見つけるだけじゃ意味がないしね」
「間に合わなかったの?」
もしかして、他の人と結婚してたりとか?
「それでも諦めたくなくてもがいてる、って感じかな?」
「そんなに、好きなの?」
そう聞くと、ハルは戸惑うことなく「うん」と答えた。彼の表情は本当に清々しいほど笑顔で、彼女のことがめちゃくちゃ好きなんだろうなってことが伝わってくる。
「……応援するよ、ハル」
だからそう言うと、ハルは少し驚いて、それからふんわり笑った。
「ありがとう、千夏」
「……うん」
なんか、ドキドキする。ってか、そんな素直に言われたらこっちが照れてしまうよ。
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