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というわけで、この前の喧嘩がちょっと頭にきたこともあって、次のテストまで颯太には内緒にしておこうと思っているのだ。 おバカ扱いするから、見返して驚かせてみたい。 弟の広政の家庭教師と言っておけばバレないだろうし。少しの間だけ、協力してもらうことにした。 頭が良くなったあたしを見たら驚くだろうなと、ちょっとわくわくする。 見直してくれるかな。 そろそろ時間だなと時計を気にしているけど、段々と眠くなってきたのだ。 トントンとノックをされて、意識が戻った。 「いちこ、先生がお見えになったわよー」 「え」 がばっと身体を起こした。 すると、開いたドアの向こうに立っていたのは長身の男の人だった。
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