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side-颯太- 「宇野は無理だろ」と、昼休み、同じクラスの栗原に真顔でそんなことを言われた。 「え?」 「なんか想像つかない」 「想像すんなよ」 人の彼女を。 「キス止まりだろうな」と、笑いながら言った。 「ほっとけよ」 やっぱり、こいつにいちこが泊まりに来る話なんか、言わなきゃ良かった。 余計、不安になるだろうが。 「でも、あれだ。意外に雰囲気に流されるかもよ? 強引に行っちゃえば?」 「強引ね」 「ほら、宇野ってなんかずれまくってるけど。一応人間だし。本能が目覚めるかもしれねーぞ」 いや、だから、俺の彼女なんだけど。 悪気なく言えるのは、いちこが栗原のことを好きだったことを栗原自身が知っているからだ。
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