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顔をあげた女の子の顔に、ぎょっとした。 泣いていたからだ。 ごめんなさいといった感じで軽く会釈をすると、その勢いのまま走り去ってしまった。 どこかで見たことがあると思っていたら「川辺?」と、栗原に呼ばれた。 「あ」 その顔を見て、思い出した。栗原の1年の彼女だって。 「お前」 なにやってんだと?と言いたくなったけど、「なにしてんの?」と、先を越されてしまった。 「いや。頭を冷やしに……じゃなくて、お前こそ」 「んー?」 「んー? じゃなくてさ。泣かせたのか?喧嘩?」 「ああ」と、けだるそうに首をかいた。 「別れ話」 「はっ?」 「なんでお前が驚くんだよ」
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