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「子供破棄センターへの移送を開始する。」
黒スーツ達が二人がかりで僕の両腕を掴み、僕は観念したように全ての力を抜いて彼らに身を委ねた。
瞼を閉じて何も考えず、母の泣く声や父のその顔ももう僕には遠い古びた話のようで、何も理解出来ずただ流れるようにたんたんと僕は処分される。
爆薬の破裂する音で僕は目を覚ました。
頭が痛く、何がどうなっているのか分からなかったが目が慣れてきた時には僕が乗っていたであろう車が赤く燃え、轟音と爆音が所狭しと鳴り響きあって耳がとても痛い。
「なにが……一体、な」
呆然と道に転がり起き上がった僕のそばに1人の少年が立っていた。
見た目は僕と同じくらいでだけど彼はしっかりと立っていて、でも僕は何を……。
「兄ちゃん、まだ薬抜けてないか…。しゃーなしだな、そのまま北門まで走って逃げるぞ!着いてきな。」
彼はそう言うと、僕の手を掴んで走り出した。
状況が飲み込めないまま、僕は必死に考えようとしていた。
おぼつかない足取りは足の感覚がなくて
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