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待つ他に打つ手が無かった。しかし、外ではレオが時間を稼いでくれている。これ以上は何時までも此処に留まればレオが空間ごと消し去ってしまうのも時間の問題となってしまう。
「やはり、何とか早く目覚めて貰うしかないのね」
しかし打てる手は既に打った後である。他に出来る事が見つけられずにいると、サカナは火球の周りの壁を魔術弾で広げ始めた。
着弾と共に上がる煙の中、とにかくこの火球の回りを広げ、ある程度の空間を作り出すとサカナの魔力弾を打ち放つ手が止まった。
「こ、これだけ広げれば向こう側に。何か手がかりが有るかも知れない」
魔術弾で広げた肉の壁を破壊すると、火球の熱を避けられる位の通路が出来あがっていた。火球の向こう側、通路の先に何かあると踏んでサカナは先に進む事に決めたのだった。
壁伝いに熱を避けるように火球を避けながらサカナは進む、勿論目の前に太陽のように燃え盛る火球が眼前に有る為、目を瞑ったまま手さぐりで向こう側までつくのにはなかなか時間が掛かった。
「ゼィ、、、、ゼィ、、、、な、何とか通れた。帰りもあるのは憂鬱ね」
火球の熱と、目の前で消滅させられる程の火力の真横を通った緊張感で全身汗だくとなっていた。少しの休憩を挟むと、見知らぬ穴の先に歩み出した。
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