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「ナニガアッタ」
中から噴き出す液体と共にセイハが流れ出て来た。しかし驚くべきはそこだけでは無かった。セイハはその手に女性の手を握りしめ二人で現れたのだった。
セイハと同じような背丈で白魚の如き全身の素肌が露わになった女性は、真っ黒で腰まで伸びた髪を乱したまま動く事は無かった。
彼女に外傷的な擦り傷一つついていなかったが、サンドホエールの中に入っていたなら、大よそ生きてはいないだろうとキットは思った。
「、、、、、、、ゲッップ。はぁはぁ、生き、、、、残れたのか」
暫くキットがセイハの背中をバンバンと大きな肉球で叩いていると、飲み込んだ液体を吐き出し咳き込みながらようやくセイハは目を覚ました。
朦朧とした意識の中、キットに助けられた事を理解すると礼を言い、彼女がどうなったかを聞いて来た。
「生きてるんだろうか。しかし何故あんな化け物の中に」
セイハはキットにサンドホエールの中でして来た事と、起こった事を説明してくれた。
セイハは中に入ると同時に、サンドホエールの体内で自分の行ける一番最奥を目指した。サンドホエールの巨躯を考えれば通常の攻撃も、恐らくはほぼダメージを与える事は出来ないと考えた。
しかし、セイハには魔力結晶体と言う名の切り札が残されていった。ウミを結晶化し凝縮したこれで有れば、サンドホエールの体積を超える程の水量で内側から破壊出来るかも知れないと思いついたのだった。
「だが、一番最奥に行く最中にこの子に会ったんだ。中で彼女は発光しながら膜のような物に包まれ宙に浮いたまま眠っていた」
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