お嬢様とメイドと移動要塞

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「貴方のお母上様が”セイハを連れて行かないで”と激昂して尻尾を三つに裂いた賜物です」  あのウミを再生させた数日後、キットはセイハと再び”男同士の”二人旅に出ようと提案した。同じ所にとどまっても面白い事など無い事と、やり残した事も今となっては、もう無いと言う理由からだった。  危険を伴う事と女性があの日から目覚めなかった為、サンドホエールの中から連れ出した女性を町に置いたまま旅立とうと二人は決めた。  しかし今、どういう理由か町の外で仁王立ちする見覚えのある緋色に燃える瞳の女性が立っていた。 「何だろう?お別れの挨拶かな。元気になって良かったね」  キットとセイハは助けたお礼でもしたいのだろうと、楽観していると突然目の前の砂上が縦に膨れ上がり砂柱を上げたのだった。  それが、何なのか解らなかったが、次々に砂柱が辺りに生まれるのを見て攻撃されているのだとようやく気付き、キットとセイハは慌てて砂山を盾にするように隠れた。 「何で攻撃されてんの俺達!ってやっぱり言葉通じてないし」 「ヤレヤレ」  攻撃の種類をセイハは自分なりに分析してみた。手を開き片腕を上げそこから閃光が伸びていた。これは何度か出くわした事の有る光景でもあった。
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