お嬢様とメイドと移動要塞

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「キット。アレって帝国の軍部にああいうの出す人居たよね!お前狙って来た、、、、名前忘れたけど」 「アレハ、マジュツダロウ。ソンナヤツ、ナマエシラナイ」  いつも厄介事を買って出る様なセイハの行動で、こんな事は日常茶飯事であった。  しかし。まさか助けた相手から攻撃されるなんて思ってもみなかった事から、二人は行動が後手後手に回り身動きが取れない状態になっていた。  背中越しに砂煙が上がり破裂音が断続的に起こっていた。攻撃の手は休めてはくれそうにないが、此処に留まった所でジリ貧である。  徐々に崩れる砂山を背に、一際大きな音が鳴った時だった。キットと申し合わせてお互い左右同時に分かれて飛び出すと、同じタイミング同じスピードで緋色の瞳の魔術使いに駆け寄った。 「今だキット!!」  巨躯を跳ね上げ先に近づいたキットは、前足を振り下ろし土煙を眼前で巻き上げた。砂で視界を塞ぎその隙にセイハは反対側から彼女を羽交い絞めにすると無理矢理取り押さえた。  しかし、試合に勝って勝負に負けたとはよく言ったものである。 「え??えええええ??なんで」
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