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太陽のような物の中に人影が見えた。まるで繭の中に居る蚕のように燃える火球が中に居る人物を守っているかのようにも見えた。
「トマトさん!まさか、貴方なんですか?」
火球の中から感じる魔力。それは僅かな物ではあったが、確かのトマトの物のように感じたサカナは太陽のようなか急に語りかけたが返事が返る事は無かった。
どうしてこうなってしまったのか解らないまま、サカナは何とかトマトを救出しようと魔術弾を放ってみたものの、火球に飲み込まれるばかりで時間だけが過ぎた。
「やっぱり駄目なのね。亜空間から出る事はすぐに出来るけど、彼女を此処から出すには骨が折れるわね」
サカナがそう呟き、火球に今度は氷の魔術を浴びせ今度こそ火球を鎮静化させんと魔術を放ってみたが、火力に呑まれ氷の礫は一瞬にして音を立てて蒸発してしまった。
「これでもダメなのね。小回りが利く方だと自分でも思ってたけど、これ程の魔力、もしかするとこの熱はトマトさん自身の力なのかも知れないわね」
あまりにも膨大な魔力。それは力ある者がトマトと出会ったならば一目でわかる事である。もし彼女の魔力ならば単純に、この火球をこじ開けるのは至難の業となる。
「生きてるのが解っただけでも一安心だけど。彼女は一体この中で何をしようと言うのかしら」
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