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授業が始まる直前だった。コンコン、とノックの音がした。
「どうぞー」
「しつれいしまーす」
そう言ってドアを開けて顔を出したのは、1年生のお元気娘、沖島茉奈……と。さっきすっ転んでいた、宮部ひよりだな。
来る事は推察出来ていたけど、血だらけかよ。
宮部ひよりを連れて来た沖島は「お願いしまーす」とサッサとドアの向こうに消えた。宮部はまるで捨てられた仔猫みたいに不安そうな顔をしている。
「取って食いやしないよ。それより」
傷だらけの顔を見て笑いを堪えた。
「どういう転び方したらそんなケガができんの~?」
泣きそうな顔を見たら、余計に言いたくなってしまった。
白い肌。綺麗な黒髪。潤んだ黒い瞳。
ふぅん。正直、美人ではない。
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