忠告?

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「どういう風に転んだらこんなケガできんの~?」  ホラ、やっぱり。苦手なの、この軽い感じが。  茉奈ちゃんは言葉通り、保健室ノックしてドア開けて先生に「この子お願いしまぁす」とだけ言い残して授業に行ってしまった。  髪を赤く染めて明るい色のジャージ着て。ニコニコとしてるけど、よく見るとその端正な顔の中で目は笑ってないの。 「その、顔からころんで……」 「顔から」  先生は消毒とかガーゼとか絆創膏とか出しながら、吹き出した。 「高校生の女のコが顔から転ぶ姿、見たかったなぁ」  もう泣くかもしれない。 「泣かない泣かない。ほら、ソコに座って」  溢れる寸前の涙をグシッと手で拭って先生に差された丸椅子に座った。 「先ずは顔からかな。にしてもおでこって」  笑いを堪えながらピンセットに挟んだ脱脂綿で消毒。
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