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鼻が低いんだもん。いたた、シミます、先生。ギュッと目を閉じた。
「なるほどね。平田センセが放っておけない訳だ」
「?」
一瞬、何の事かわからなかった。
「平田センセが好きなんでしょ、宮部ひよりさん」
ドキッ! として目を見開いて先生を凝視しちゃった。瞬きも出来ない。
「どうしてそれを? って顔だね」
ドキドキが止まらない。なんだろう、凄く嫌な感じがした。背筋が冷たくなるような。
先生は手を休める事なくおでこに大きな絆創膏を貼り、手際よく手と膝も消毒をしてガーゼをテープで貼り付ける。
「僕はね、全校生徒の事みんな知ってるんだよ。よしっ、おしまい」
屈んで膝のテープを貼っていた先生があたしを見上げた。その目からは先生の感情はわからない。
「ま、宮部さんの事好きなヤツは結構いるみたいじゃん。先生ばっか追いかけてないでさ、他にも目を向けてみな、って話をしたかったワケ」
「???」
首を傾げるあたしの肩を先生はポンポン、と叩く。
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