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まりあ先生がブラウスのボタンを留め、服の乱れを直しながら言った。
「川井先生、どうしてゲイなんて噂流れたのかしら? こんなに女の人が大好きなのに」
涙ボクロがまたいい。
「敢えて僕が流したようなモンだよ。ここで授業サボってばかりの困ったクンがいたから寝込みを襲ってみたらすぐだった」
「まあ」
桜色のそそられる唇から驚嘆の声。
「お陰様で、女のコは、女の気持ち分かってくれそうと気兼ねなくなんでも相談するし、男どもは襲うぞ、って一回脅してみたら面白い形のウワサになって保健室でサボろうなんて考えるヤツはいなくなった」
まりあ先生は驚きながら聞いていたが、フフッと笑った。
「そういえば、あんなに荒れてた校内が去年くらいからずいぶん落ち着いた気がするんだけど」
服の乱れを直し終えると彼女はアップの長い髪を結い直す。
「ああそれは……」
俺だけじゃないな。アイツだ。
「平田先生によるところのモンが大きいな」
「ああ、平田先生ね」
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