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俺は遼太の今までの彼女はだいたい知ってる。みんな美人だった。しかもアイツはバカな女が嫌いで才女ばかり。
この子、全く正反対じゃないか? どうしてこんなガキンチョ? と思っていたが。
おでこの消毒、少ししみるらしく彼女は目を閉じた。睫毛が長いな。色白だが、微かに紅を挿したような健康的な白い肌。首筋から下が綺麗で、思わず生唾を飲んでいた。
不思議な子だ。優しくて邪気がない無垢な子だというのは知ってる。少々鈍くさくてたまにいじめられてるのも、知っている。遼太は守りたくなったのか。
この子の気持ちはどうなんだ? ちょっとカマをかけてみた。
「平田センセの事が好きなんでしょ、宮部ひよりさん?」
素直すぎだ。まるわかりだ。一瞬で頬をピンク色に染めて、瞬きを忘れた大きな黒目が俺に向けられた。これは益々、阻止しなきゃだろ。
阻止……そうだ、これは遼太の教師としてのキャリアに傷を付けない為の。そう、遼太の為だ。
ちょっと彼女を見ていて想像してしまう。
遼太はもう?
体操着の胸元の膨らみはまだ小さいけれど、艶がある小さなサクランボみたいな唇が、一瞬の表情にドキッとさせる力を持っていた。
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