220人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
ちょっと興味を持ってしまいそうだった。いやいや、あり得ない。
「先生ばっか追いかけてないでさ、周りにも目を向けてみなよ」
この子にはもっと痛烈な忠告をしてやるつもりだった。これじゃ〝牽制〟だ。鈍そうだから俺の意図は伝わらんな。
「あたしはそんな……」
これ以上話したら、ちょっと変な気持ちになりそうだから、早々に授業に戻そう。
「今からならきっと遅刻扱いにはならないよ。もう転ばないようにグラウンドに行くんだよ」
何かを言おうとした彼女の言葉に自分の言葉を被せ、ドアを開けてあげる。戸惑いながら頭を下げて、振り向きながら廊下をよたよた走り出した。
保健室に来た生徒を見えなくなるまでお見送り、なんて俺は今までした事ない。やっぱり遼太、俺は彼女との仲は邪魔してやりたいな。
そんな事をぼんやり考えながら、足元くじいてつんのめりそうになりながら走る彼女の後ろ姿を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!