思わぬお邪魔? side遼太

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 大学の研究所に勤める研究者で学者肌の親父は、実験とかが入れば何日も泊まり込みで帰って来なかった。  父親が家にいなくて寂しい思いをしていた俺におじさんはボールを握るところから野球を教えてくれた。  小、中学生の頃の野球チームの練習も遠征も全て付き添ってくれた。  俺のもう1人の父親みたいなもんで凄くいい関係を築いていた。と思っていたんだけど、ひよりの事となると話は別らしい。  宮部家にひよりを送り届けると、おじさんがニコニコと出迎えた。 「遼太、飲んでけよ」  今日は休みで家にいた、という賢さん。まるで若者みたいにダンガリーシャツにブラックジーンズを見事に着こなし、おじさんまだ三十代そこsこだっけ、状態。  これがまた、背が高くて足が長いから憎たらしいくらい似合うんだけどさ。  休みの日は確実にヨレヨレのスウェット上下に不精ヒゲの俺の親父と中学時代からの親友、とか今もって理解できない。  当人たちにしか分からない何か通じ合えるものがあるのかもしれないが。
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