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 ぐったりしているミケ子さんを猫用の毛布でくるんで外にでた。今日は風が強い。三月とはいえ、まだ冬の名残りがある。冷たい風が直接当たることで、負担をかけたくなかったからだ。  かわいいかわいいミケ子さん。  けっこう美人で、でも気が強くて、おまけにケンカも強いミケ子さん。  だけど、ミケ子さんはもうすぐ旅立ってしまう。私のそばから、ううん、誰のそばからもいなくなってしまう。  やせ細って、だいぶ小さくなってしまったミケ子さんは、まるで仔猫のように軽い。けれど、指に当たるごつごつした骨の感触や、しっかりした眼差しは、仔猫特有のやわらかさや無邪気さとはかけ離れている。毛布越しにも、いろんな苦労をして、生き抜いてきた力強さを感じる。  触れると暖かくて、獣医さんを見ると露骨に嫌な顔をする。生きてるよ、ミケ子さんは生きてる。空に向かって言いたくなる。まだ早いでしょうって。だけど、無理だって分かってる。今は生きているけど、少しずつミケ子さんの生気は失われていってる。いつ最後のひとかけらが無くなってしまうのだろう。  考えたくないので考えないようにしようとは思っている。今の時間だけを大事にしたい。
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